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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


「これ……ネックウォーマー?」

涼太が取り出したのは、そう、ネックウォーマー。
長めで、輪っかになってるの。

「あ、スヌードにもなるヤツだ、便利っスね」

「あの、涼太はそういうの、沢山持ってるかなと思ったんだけど、あんまりピンとくるものがなくて……」

黒・グレー・白の段染めになっている毛糸。
差し色として、所々に赤が入っている。

「いや、持ってないっスよ。撮影とかで使っても、あんま気に入るのなくてさ。これ、色もカッコいいし、好きっスわ。
マフラーは風とかで崩れるからウザいんスよね」

二重にしたり、角度を変えて巻いたり……私は二通り位の使い道しか知らなかったのに、涼太は次々とアレンジしていく。

「肌触りもすげーいいし! 使いまくるっスわ、ありがと、みわ!」

満面の笑みでそう言ってくれる彼の優しさに、胸が熱くなった。

こんなの、大したものじゃなかったのに。
色々考えてくれた涼太のプレゼントに比べたら……。

「これ、洗濯は手洗いで出来るんスかね?」

「あ、うん、手洗いで大丈夫だよ」

涼太は、首から外したそれをめくりながら、洗濯表示のタグを探している。

「あれ、タグ無いんスね。もしかして先に切ってくれた?」

「あ……えっと……タグはね、無いの」

「ん?」

その、おひさまのような晴れ晴れとした笑顔を向けられると……言い辛い。

「あの、……だから」

自分でも驚くほど小さな声になった。

「ん、ごめん、もっと大きな声で言って?」

「……それ、編んだ、やつだから」

「へ」

わ、引いた!? 引いた!?
引くよね!? 手編みとかいつの時代だよって感じだよね!?

どうしよ、どうしよう。
やっぱりお店で立派なのを探せば良かった。
どうして私はいつも、考え無しなんだろう。

「みわが、編んでくれたんスか?」

「…………う、ん」

こんな安っぽいもの、プレゼントしてごめんなさい。




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