第77章 共栄
きらきら、きらきら。
星だ。
それに、身体が浮いてる感じ。
私、空飛べるようになったのかな?
「目の前……星、飛んでる。きれー……」
すごい。
消えない、星。
チカチカと点滅を強めていく。
「イヤイヤそれ、めまいっスよ!」
……ん?
涼太の声だ。
目眩?
ぼんやりと像が結ばれていくと、今度は目の前に突然涼太が現れた。
明るい。
背景が、星空じゃなくなってる。
そして、さっきの浮遊感……
「わ、私逆上せて……つめたっ」
ひやり、おでこに冷たくて固いものが当たった。
「大丈夫っスか? 気分は?」
手渡されたのは、缶ジュース。
冷たくて、気持ちいい。
思わず頬ずりした。
「大丈夫、ちょっと立ちくらみみたいになっちゃっただけ」
そもそも、涼太がドキドキさせるから目が回った気もするんだけど……。
「大人しくしてるんスよ。はい、あーん」
口の中に放り込まれたのは……りんご?
テーブルの上に用意されていた果物だろうか。
よく冷えてて、美味しい。
しゃくしゃくと咀嚼すると、蜜のような甘味がじわりと口内に広がる。
「美味しい」
「ん、良かった。オレンジもあるっスよ。あーん」
今度は、ジューシーな甘酸っぱさが濁りそうな意識を覚醒させる。
「ん、これも美味し……」
って、彼に何やらせてるの!
胸元を見ると、バスローブらしい物を着ている。
……見覚えがない。
あれ、これどうしたんだっけ。
いつ、着たんだっけ。
頭の中で、少しずつさっきまでの出来事を再生する。
お風呂に入ってた記憶が最後だ。
つまり……
…………
「え、涼太が着替えさせてくれたの……?」
「ん? そうっスよ」
ぎゃあ!
裸!
裸を見られた!
さっきのふわふわした感じは、抱きかかえられてたんだ!
ムードもへったくれもない事をした。
クリスマスなのに。
ちらり、彼の様子を伺う。
「あっちー」といいながら缶ジュースを飲み、バスローブの合わせを掴んで仰ぐように上下させている。
「みわ、少し眠った方がいいスよ。寝付くまで、手握ってるから」
ふわ、と重なった手は、缶で冷えたのか、いつもよりも冷たかった。