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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


そっと抱き寄せられて、重なる肌。
すぐそばの息遣いに、体温が急上昇していくのを感じる。

温泉のおかげなのか、涼太だからなのか、触れ合った肌はつるつるだ。
お湯が透明だから、いくら暗いとはいえ、彼に身体を見られてしまわないか気になって仕方ない。

「あの、ちょっと、近っ」

「ほらみわ、上」

水面ばかりを凝視していた私に、後頭部から掛けられたその声に合わせて、顔を上げた。

「あ……」

さっき、湖のほとりで見せて貰った星空とは、また違う空が頭上には広がっていた。

真っ黒の山と山の間に広がる、きらきら金平糖のような星たち。
景色が良い宿にしてくれたんだ、きっと。
私が好きだからと、星が見える所へ連れて行ってくれたり、時計だって……。

「キレーっスね」

「うん……」

なんて贅沢。
うっとりと星たちを見つめていると、右から左へ、高速で流れる光の筋が目に入った。
すぐに、消えてしまって……

「りょ、涼太、いま、今の見た?」

「うん、スゲー! 流れ星っスね」

流れ星……!
今のが、今のが?
あっという間すぎて、すぐ見えなくなってしまったけれど、きらりと煌めいたその姿は目に焼き付いている。

「願い事3回とか、絶対間に合わないっスわ」

願い事3回、頭の中で唱えると願いが叶うって言うよね。

……私の願いって、何だろう。

「なんか、素敵な事が起こりすぎて……私、明日死んじゃうかも」

「はは、やめてってば」

大好き。

私の願い……輝き続ける涼太を、ずっと見ていたい。

彼のすぐそばに居られなくても、いいから。

「みわ、ずっと、オレと一緒に時を刻んで。
その誓いのための、時計なんスよ」

私のこころの中を読んだような言葉は相変わらずで、ドキリとする。

そう言って貰えるのは、これ以上ない幸せ。
なんて光栄な事なんだろう。
そう思うのに、はっきりと首を縦に振ることは出来なかった。


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