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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


「ごめんね、みわ。また、寂しい思いさせちゃうかもしんないんスけど……」

頬に触れるのは、いつも温かい手。
涼太が謝る必要なんてないのに……優しいひと。

「応援してるよ、涼太」

寂しくなんかない、とは言えない。

触れたくて
触れたくて
ずっと、焦がれて。

でも、私のそんな感情なんて、必要ない。
涼太の邪魔をするくらいなら、死んだ方がマシだ。

私も。
私も、見つけた目標……満足出来るまで挑戦し続けたい。

「私も頑張るね」

「ありがとう……みわ」

目が合って微笑んだ涼太は、どこかホッとして、すっきりした顔をしている。
多分……どう切り出そうか、ずっと悩んでいたんだと思う。

琥珀色の瞳は、宝石のような輝きを湛えたまま、緩んだ。

「みわ、キスしていい?」

「……っ」

今日1日、散々したのに。
1度も、そんな風に聞くことなかったのに。

「あ、の、改めて聞かれると、凄く恥ずかしいというかね、あの」

「いい?」

「……ずる、い」

くすくすと笑った後、ゆっくり唇が重なった。

優しいそれは、段々と熱を帯びてきて……彼の手が、背中のファスナーに触れる。

まさか、このまま?

「ま、待って涼太、お風呂に入りたい」

この寒さとはいえ、室内は暖かいから汗もかくし、今日は結構変な汗もかいたし、やっぱりお風呂に入らないで……っていうのはちょっと……。

「ん、じゃ入ろっか」

断られないかドキドキしていたけれど、快諾されてホッとする。

きっと、こんな立派な旅館だ、素敵な温泉があるに違いない。
少しでもお肌をつるつるにして……

大浴場に行く準備をしようと思ったのに、涼太は私の手を取って歩き出した。

「あの、涼太、どこに……」

開けたのは、恐らく、部屋に付いているバスルームやトイレに繋がるドア。

ユニットバス的なものを想像していたのに、視界に飛び込んで来たのは……

「え、露天、風呂?」

「ここね、全室客室露天風呂付きなんスわ」

嬉しそうな天使の微笑みが、悪魔の色を帯びた。



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