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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


「凄い、きらきらしてる……」

箱ごと傾けると、部屋の明かりでもキラキラ、キラキラと光が乱反射して輝く石。

「ああ、ごめんねダイヤはちっちゃいんスけど」

ひっ、ダイヤ!?
これも!? また!?
いけない、つい綺麗さに目を奪われてしまったけど、そんな事してる場合じゃない!

「涼太! こ、こんなの貰えないよ!」

いくらするのか、もはや想像もつかない。
おまけに、ペアモデル。
2つも買ったら、一体いくらに……

ぶんぶんと顔を左右に振る私に、涼太は寂しいような……少し悲しい笑顔。

「お揃いにしたかったんスよ、ダメ?」

どうしてそんな顔、するの?

「じゃ、じゃあ私、涼太の分を払う!」
「みわ」

その固い声音と、真っ直ぐな視線に、これ以上の議論はやめて欲しいという意思が現れているよう。

「……涼太」

「ずっと一緒に居られなくても、同じ空の下で、同じ時を刻みたい……って、これ見るたびにそう思えるって思ったんスわ」

ゆっくり時計をケースから外し、そのまま私の左手首に巻き付ける。

パチン、というバンドを留める金具の音が高く響いて、静寂が訪れる。
涼太はすぐに、自分の分も取り出して、装着した。

「ごめんね。みわ。きっと、こうやってのんびりイベントを過ごすの……今後はしにくくなるかと思ってさ」

今後……?

確かに、3年生になったり、卒業が近くなればまた忙しくなるし、試合の前はいつも通り、練習や合宿漬けだろう。

でもそんな事、改まって言う必要ある?
そして、どうして今?

「ホントにオレの勝手な都合だし……みわを振り回すような事はしたくねーんスけど……」

何?
なんか、嫌な雰囲気だ。
今日1日振り回されたのとは違う種類のドキドキ。

「どうし……たの?」

声が掠れた。
咳払いして治す雰囲気ではない。
涼太は、少しの間テーブルを見つめて……口を開いた。



「オレ、全日本の代表メンバー入りが決まった」



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