第77章 共栄
「みわ、そこ座って。クリスマスプレゼントがあるんスよ」
その発言に、驚きで一瞬言葉を失った。
プレゼント!?
「も、もう十分頂いてます! これ以上プレゼントなんて貰えないよ!」
「そう言わないでさ、間に合ったんスよ、ギリギリで」
そう言って彼が出したのは、行きに寄ったジュエリーショップの紙袋。
「これ……」
「そそ。本当はもっと前に入荷する予定だったのにさ、向こうのミスで今日になっちゃって。遠回りになってゴメンね」
そっか、これを受け取るためだったんだ。
店員さんの謝罪の理由も分かった。
全部、私のために。
もう、何から何まで申し訳なくて、涼太に促されるまま、和製座椅子に腰掛けた。
「あの、涼太……誕生日に貰ったこのネックレスも、高価な物だと知らなくて、ごめんなさい。本当に、私なんかにお金を使わないで」
涼太は聞こえているのかいないのか、紙袋の中身を覗きながら説明を始めてしまった。
「これ、みわ気に入ってくれるといいんスけど」
……涼太、なんか……変。
いつも、こんなに自分勝手に物事を進めるようなひとじゃない。
何か、焦ってる……?
「……開けて、いいの?」
「モチロン」
彼の意図が分からなくて、何か手がかりはないものかと考えながら、紙袋を開ける。
中には手のひらサイズの四角い箱が2つ、入っていた。
「片方はオレのなんスよね」
箱を並べて、開けると……そこに並んだのは、腕時計。
「綺麗……」
ステンレス製のバンドがついた腕時計には、ネイビーの文字板がついていて……
「これ、星?」
「そ。これね、"星空"をイメージしたペアモデルなんスよ」
文字板に少し大きめのローマ数字が配置されていて、秒針の尾には黄色い月が付いている。
中央にはキラキラとラメが施されていて、更に、丁度ローマ数字で表された、かつて彼が背負った背番号と同じ、「7」……「Ⅶ」の所にキラキラした石が嵌っている。
その石を取り囲むように、小さな星模様が散りばめられていて、本当に星空みたい。