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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


ガタンと、突然の上下の揺れに驚いて、目を開けた。

……目を、開けた?

目の前が、暗い。
一瞬、今どういう状態なのか、全く思い出せなかった。

「ごめん、起こしちゃったっスね」

右側から届く柔らかい声。

目の前の風景と彼のセリフから、最悪の状況が解として導き出された。

「ごめんなさい! 私、寝ちゃった……!」

車に乗って、ぽかぽかと気持ち良かったのまでは覚えてる。
時間、時間は今何時!?
慌ててスマートフォンの画面を確認すると、既に20時を迎えようとしていた。

最悪だ。

宿、って言ってた。
宿だとしたら、夕食の時間があるはず。
こんなに遅くて、出して貰えるんだろうか。
いや、その前に、涼太は1件行きたい所があると言っていた。

こんな時間じゃ、もう間に合わないんじゃない?
どうしよう、どうしよう。

「涼太ごめんなさい! 折角立ててくれた予定が」

「みわ、じゃあ行こっか」

涼太は、なんにも無かったように車外へ出て、助手席のドアを開けた。

「大丈夫? 出れるっスか? もう少し寝とく?」

「ううん、行く、行くよ!」

睡眠不足が、まさかこんな事になろうとは。
もうこれ以上の失態は許されない、そう肝に銘じて、伸ばされた手を取り、車外へと足を降ろした。

しゃり、土の感触を靴底に感じた。
外の空気は、昼間のそれとは異なり、かなり冷え切っている。

頬に当たる冷気に、思わず声を上げた。

「……さむ」

「冷えるっスね」

涼太は、車から持って来てくれたブランケットを渡してくれる。
繋がれた手のように、ほわ、と温かい。

それにしても、どこに向かってるんだろう?
先ほどから、歩いているのは森の中のような、木々に囲まれた場所。

視界前方と上方が木に囲まれて、光も殆どなくて、周りが何も見えない。

ちょっと怖いな、なんて思っていると、突然視界が──開けた。

「…………!」





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