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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


「それに……どこに居ても空はひとつだから」

例え、涼太と離れ離れになっても、この世界に居られる限り、空はひとつ。

もし……私がこの世界に居られなくなっても、空から見ていられる気がして。

「そう思うだけで、少し頑張れる気がするんだよね」

単純かもしれないけれど、涼太がくれた、かけがえのないこころの支え。

「そっか……オレも、そう言って貰えて嬉しいっスわ」

涼太の頬が上気しているのも、足湯のせいかな?

「うん、安心した。サンキュね、みわ」

「?」

何が安心出来たんだろう?
お礼を言われるような事は何もしていなくて。

引き続き、美味しそうにパンを頬張るその姿を見ている事しか、出来なかった。






遅めの昼食を終えてお店を出ると、太陽は早くも中天を過ぎて、沈み始めている。

「みわ、今日泊まりでいいんスよね?」

「あ、うん」

そう言えば、どこで泊まるかは聞いてなかった。
私の部屋も多分大丈夫だけど、神奈川だし、涼太のお部屋かな?

「じゃ、宿行く前に一件、いいっスか?」

「……うん」

……宿?
もしや、旅館とかホテルとかそういう所に?
お金、足りるかな……。

まだぽかぽかしている身体。
夏場だったらきっと汗が止まらないと思う。

この寒い12月の時期には丁度いい。

ゆったりとした気持ちのまま、車に乗り込んだ。

フロントガラスに差し込んでくる光が、段々とオレンジ色を帯びてくる。

まるで、紅葉のようなその色の移り変わりが美しくて、見とれているうちに、瞼が重くなってくるのを感じる。

だめ、だめ……。

相変わらずの寝不足が、こんな所で邪魔するなんて。

エンジンのかかる音、ブレーキを踏んだ時の軽い抵抗、涼太の優しい声……身体はやっぱりぽかぽかあったかくて。

全部が全部気持ち良い。


きもち


いいな……。


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