第77章 共栄
「ん、んん!?」
なに、なに!?
何、今運転席の涼太が、
こっちを向いたと思ったら、ちょっと?!
ぱすぱすと彼の肩を叩くと、思ったよりもすんなりと唇が離れる。
「ん? どしたんスか?」
きょとん、不思議そうな顔。
悪気は、まったくなし。
「ちょ、りょ、涼太って、どうしていきなりキス、するの!?」
来れないと思ってたのに突然来てくれて、こんな突然普段と違う顔を見せられて、ドキドキさせられっぱなしなのに、どうしてもっとドキドキするような事、するの!?
「ん〜? みわはしたくない?」
「ちょっ、それは」
「オレ、したい」
「わ、ねえ、聞いてるの、っ」
再び詰まる距離。
車って、なんか変。
独特の香りに混じって、涼太の部屋みたいに涼太の匂いがする。
窓からは外が丸見えなのに、まるで室内みたいな、なんか上手く言えないけれど、なんか変。
落ち着くけど、なんか落ち着かない。
「みわが動揺してんの、可愛くてさ」
「っ、ん……ッ」
薄くて柔らかい唇が、何かを試すように触れてくる。
じん、じん。
どんどん、地熱で温められるみたいに、じわじわと身体が熱を持っていく。
オレの事、欲しいでしょ?
そう言っているようで。
ダメだダメだと頭の中では赤信号な筈なのに、それすらもぼやけて、本当は青信号だったんじゃないかって思えてきて。
頭がぼんやりしてきたところで、再び唇は離れた。
「みわ」
「……っは、はい」
「黒子っちに、どこ触られたの?」
……え?
黒子くん?
一拍置いて、あの玄関での出来事を思い出す。
何か変な事があったんじゃないのかと、心配してくれてるんだ。
「大丈夫、触られてないよ」
「ここ?」
する、触れたのは左胸。
服の上から、撫でるように触れる。
「っ、だから、触られて……ないって、ば」
止まることのない手にゆっくりと揉みしだかれて、呼吸が、乱れていく。