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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


「冗談じゃねえなら、余計悪いっスわ」

睨み合っているのか、涼太から溢れる言葉にも温度がない。

冷戦、とかじゃない。
掴みかかりそうなくらいの熱を感じる。

どうしよう、どうしよう。
「あれー、黄瀬じゃん」

突然涼太の背後から聞こえてきたのは、あっけらかんとしたその声。

「……あきサン」

「何あんた、どーやって来たの」

ガサガサ、重いビニール袋を持っている気配。
あき、お買い物終わったんだ。
良かった……

「ごめんあきサン、今取り込み中なんス」

「あー、そうみたいね。退散するわ」

え、ええっ!!
頼みの綱、あきはあっさりと家の中に入ろうとしている。

どうしたらいいか分からなくて、待って、って言おうとしたんだけど、上手く言えなくて。

「黒子っち、この際だからハッキリ言っておくっスけど、オレは何があってもみわと離れたりはしないっスから」

「この際だからボクもハッキリ言っておきます。ボクは、諦めません」

どんどん熱を持っていく会話。
絶体絶命、慌てて抱きついている腕を離して顔を上げた。

「あのっ、涼」

ブチッ、カンカラカンカンバサバサバサ。

その大音量に驚いて振り向くと、マンションの廊下に散らばっていくペットボトルや缶、お菓子の袋やらなんやら。

どうやら、ビニール袋の取っ手が荷物の重みに耐え切れず、切れてしまったらしい。

「あっ、だからあの店員、袋分けろって言ったのに! 黄瀬! 黒子! 拾って!」

4人でアワアワと拾い物をしている内に、さっきのギスギスした空気がなくなっていくのを感じる。

良かった……。



「はー助かった。さんきゅね、皆」

買った物を皆でキッチンまで運んで、一段落。

「じゃ、オレたち行くっスわ」

涼太がするりと慣れた調子で私の腰に腕を回した。

「え、行くって……」



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