• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


玄関のドアを開けた目の前には、水色の妖精……じゃなくて、黒子くんがいた。

「黒子くん……どうしたの?」

「いや、ボクは友達の家に勉強に来たのですが……」

「友達?」

ザッと水が流れる音に続いて、背後からトイレのドアが勢い良く開く音。
トタトタと廊下を走るあきが流す冷気を、足元に感じる。

「あーごめんねみわ、友達来たみたいで。トイレ入ってたんだわ」

「あ、うん、大丈夫だけど……」

「こんにちは」

ぺこり、水色の髪がそよそよと、あきが起こした風に靡いて。

「上がって上がって。これスリッパ」

「ありがとうございます」

黒子くんとあきは、特に違和感なく挨拶を交わしている。

私の周りだけ止まっていた時間が動き出した。

「え、え、え? 友達? あきと黒子くんが?」

「そだよ」

「もしかして黒子くん、駅で助けてくれた日に行ってた友達の家って」

「はい、ここです」

待って。
2人が友達?
……よく考えてみたら、保育士を目指す2人。
大学も……同じだ、そう言えば。

「同じ講義で、あきさんと席が隣になる機会が結構ありまして」

「黒子とはお気に入りの席が似てんだよね」

「へ、へえ……そうなんだ」

それ以外の返事が思い浮かばない。
意外すぎるほど、意外すぎて。

そもそもタイプが全く違うこの2人、どこで気が合うんだろう?

気が、合う……
え、もしかしてそういう事?

「えと、2人は、付き合ったり……」

「するわけないじゃん! あたしもっと肉食系が好みだもん。てか彼氏持ちだし!」
「ボクも、好きなのはみわさんだとお伝えしてあるはずだと思いますが」


「……す、すみません……」

私の勘違いは秒殺された。


「気は合わないからさ、講義についての論議とかするのが面白いんだわ。あたしも考えないような角度で考えるからね、この男は」

「あきさんは、大胆な発想が得意ですよね。元来の性格からくるものかもしれませんが」

……合ってない事が、かえって合ってるということだろうか?


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp