第77章 共栄
シャワーも浴びた。
下着は新しく買ったもの。
真っ白のブラジャーとショーツを身につけ、髪をタオルドライした後にブローで整えて。
少し毛先を巻く。
あとは、ほんのりメイク。
すっぴんでも可愛いよと言って貰えるのは嬉しいけれど、それにかまけて努力をしないというのは、違うと思うから。
洋服は、少し短めの丈のワンピース。
ベロア素材で、質は良さそうに見える。
店員さんに赤をお勧めされて、ワインレッドにした。
超・冒険……や、やっぱり黒にすれば良かったかな。
派手な赤じゃないから大丈夫ですよと励まされて、これにしたけど……。
黒のタイツに、涼太に以前買って貰ったブーティ。
「まだ履いてるんスか!?」って言われたけれど、まだ3、4年位しか経ってないし。
靴底を修理したりして、大事に履いてる。
鞄……毎度ぶつかる問題。
涼太に買って貰ったリュックは、どちらかというと日常使い用だし……昔から使ってる、小さなトートバッグにしようかな。
ちょっと端から糸が出てるから、ハサミで整えて……。
涼太はおしゃれだから、すぐにアラは見つかっちゃうけれど。
約束の時間まで、あと10分。
涼太から連絡は、まだない。
メッセージ、送った方がいいかな。
コンコン、突然のノック音に驚いて飛び跳ねた。
「はっ、はいっ!?」
「みわー、あたしさ、友達が夕方まで勉強しに来るんだけど、いーかな? 夕方はあたしも彼と会う予定だからさ」
「あ、うん。大丈夫だよ」
流石のあきは、もう大学で新しいお友達を作ったみたいだ。
……涼太がもし来れなかったら、夕方まで喫茶店で時間を潰そう。
でも、部屋に閉じ籠ってれば大丈夫かな?
うーんとそんな事を考えていると、バタン、トイレのドアが閉まってすぐ、玄関のチャイムが鳴った。
ありゃ、私が出た方がいいかな。
「はぁい」
慌てて応答すると、インターホンのカラーモニターに映っているのは……
「……え?」
「その声……みわさん……ですか?」
水色の彼。