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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第76章 清新





ハラ、減ったな……。
ダシの匂いがする……どこんちのメシだろ。
ウチ、なんか、食うもんあったっけ……冷蔵庫、何入ってたっけ……あー、眠い……。

そういや、今日って何日だ?
えっと……


……あ、オレの誕生日だった、のか……
みわと一緒に寝て……の割に、腕が軽くない?

大慌てで起き上がると、薄暗い部屋。
隣にみわは、いない。

代わりに、届いてくるのはダシの匂い。

オレを起こさないように、微かにトントンと何かを刻む音。

台所に目をやると、オレのロングTシャツを着たみわが、包丁を持って調理していた。

オレの気配に気が付いてこちらを向いた彼女は、太陽よりも眩しい笑顔を向けてくれる。

「あ、涼太、おはよう」

「おはよ、みわ」

……やっぱり、毎朝こうやって挨拶したい。

その為には、早くオトナになんなきゃ。
ふたりとも、夢叶えて。
一緒に生きていけるように。

みわに内緒のアレは、その為の第一歩、ってことで。

「ご飯作ったんだけど、食べる?」

「食べるっス」

「はい、承知しました」

明るい声の"承知しました"が好きだ。
語尾に音符マークが飛んでいるような声。

焼き魚に卵焼き、納豆に海苔にみそ汁。
ひじきの煮物もある。
みわが来た時用にと買い込んでおいた食材は無駄にならなかったみたいだ。

あー、日本に生まれてよかった。



遅めの朝食を終え、2人でお茶を飲みながら色んな話をした。
最近どうだとか、学校はどうだとか、バイトはどうだとか。

どれも、電話で話すのと大して内容は変わらないはずなのに、こうして顔を合わせて話していると、楽しくて楽しくて仕方がない。

「あ、あのね涼太、7月7日なんだけど……」

「うん、行きたいトコあるんスか?」

「あの、あの、言いにくいんだけど……」




「なぁんで誕生日に予定入れるんスか!」

彼女のスケジュールは朝から晩までパンパンだった。
そりゃ、オレだって夕方までは練習だけどさ。

「ごめんなさい……涼太のお誕生日のすぐ後だし、私のはいいかなって」

「良くないっしょ! 全然!」

「ご、ご、ごめんね……」

んー、どうしたモンか……。



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