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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第76章 清新


長い長い、キスだった。
私が自ら外し、手のひらの中に持っていたピアスを付けてくれてから、再び合わさる唇。

今日、会ってから何度も唇を重ねたけれど、そのどれよりも熱く、ねっとりと絡みつくような、濃厚な接吻。

唇を舐めて、食むように味わってからゆっくりと舌を差し入れてくるのは、彼の癖。

温かい舌が歯列をなぞり、口内を探るように動いて上顎を擽る頃には、私は彼に縋るようにしがみつき、力の抜けていく身体を必死で支えている状態だった。

そうこうしている間に大きな手がTシャツの上から背中を撫でる。
それが、驚くほど気持ち良くて。

「ッ、んっ」

次々与えられる快感にびくびくと身体が震え、理性が溶け出していくのを感じる。

ドキドキと心臓が破裂しそうなほどなのに、なにものにも代え難い安心感があるのは、涼太だから。

唇だけではなく、額、鼻筋、頬、顎、瞼……顔中に落とされるキスの嵐。

「みわ、無理だけは……ダメっスよ」

労るようなその優しさに、じわりと胸のわだかまりが溶けていく。

少しだけ後悔……していた。
気持ちが纏まらないまま、涼太にぶつけてしまったこと。

優しい彼の事だ、あんな風に"抱いて"と頼んだらきっと、断れないだろう。

涼太のお誕生日、純粋にお祝いしてあげたかっただけなのに。

こんな、気を遣わせながらの行為なんて……涼太が気持ち良いわけ、ない。

「うん、ッ……」

彼の指の動きに合わせて、ひくりと身体が上下運動をする。

一刻も早く彼を止めてあげなきゃと思うのに、僅かに触れたその熱を、身体は欲してしまっている。

だめ。
こんな状態で、涼太に迷惑掛けられない。

そう思うのに……。

獣のような欲望が顔を出す。
このひとに愛されたい。
このひとを愛したい。

「りょう、た……ッ」

「……みわ」

「んん……っ!」

整わない呼吸のまま叫ぶようにその名前を呼ぶと、優しいキスと、こわれものに触れるような愛撫で返事が来た。



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