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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第76章 清新


海常寮よりも少し大きいこの部屋に、私の声が響く。

寂しく聞こえたその音は壁にすうと吸い込まれて、彼が次に発した言葉で完全に塗り替えられた。

「みわさ……言ってたっスよね、卒業式にピアス開けた時"生まれ変わったみたいだ"って」

「うん……」

言った。
本当に、生まれ変われたみたいだったの。
ガチャンと、耳に穴が開いた音が新しい扉を開いたかのように。

涼太が、一緒に扉を開いてくれたんだ。

「みわはあん時、生まれ変わったんスよ。もう、今日のみわは新しいみわだ。その意味、分かる?」

こくり、頷く。
意味を理解したというよりも、そうありたいと、願望のような気持ちを込めて。

「こころの準備が何かなんて、難しいことはどーでもいいんスよ。みわが、今までみたいにオレが欲しい、オレと一緒に居たいって思ってくれたんなら、それで、それだけでいい」

……欲しい。
一緒に、居たい。
繋がりたい。こころも、身体も。

この間は、気持ちが追いつかないって話した。

あの時は好きで、好きで、好きなのに、気持ちがそれ以上、行けなかった。

迷いと戸惑いばかりで、自分ばっかりで。

でももう、今はこんなにも彼を求めてる。

はしたないって、思われない?
汚いって、思われない?

こんな私が、涼太を求めていいの?


「言って、みわ。みわの気持ち、聞きたい」

ごくり、自分でも驚くほどの音で、喉が鳴った。

「りょう、た……」

口の中が、カラカラだ。

「うん」

「……涼太、すき」

どうして、こんなにも好きなんだろう。

「うん、オレも……好きだよ」

ゆっくりと、大好きな腕の中に引き込まれていく。

涼太が、欲しい。


「涼太……お願い……抱いて……」

続く言葉は甘い口付けで遮られ、音になる前に呑み込まれていった。


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