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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第76章 清新


嬉しい。
マジで、嬉しい。

この笑顔とまだ、一緒に居られる。

メシが終わった後、みわが買って来てくれたケーキを食べようという事になって。

箱を開けたオレは、予想も出来ない事態に、驚いた。

「……これ」

箱に入っていたのは、長細いカタチのケーキが2つ。

珍しいケーキだった。

何が珍しいって、何のケーキなのかが分からないんだ。
普通、見れば分かるっしょ?
チョコレートケーキとか、ショートケーキとか、チーズケーキとか、モンブランとかさ。

なぜかと言うと、その見た目。
表面がツヤツヤとした……ネイビー。
チョコの色とはまた違う。

そして、表面にはキラキラした金箔のようなものが散りばめられて。

まるで……

「なんか、星みたいっスね」

そう。
いつか2人で見た、満天の星のようだ。

みわは、またパッと笑顔の花を咲かせた。

「そうなの! 《星空のケーキ》って言うんだ。
中はカシスとかマロンとかを使ってるんだけど、表面が星空みたいでしょう?
私、涼太と見た夜空が、忘れられなくて」

「うん、うん」

ああ、可愛い。
ころころと笑って、くるくると動いて。

「私も七夕生まれだからかな、星空って特別……な……」

ん?
みわは、ハッと何かに気付いたような表情。

「みわ、今なんて? 七夕……生まれ?」

アレ?
みわの誕生日って、3月って言ってたよな?

それだって、いつも盛大にサプライズしようと思ってんのに、私のお祝いはいいからって、遠慮しまくりで。

卒業したから、ようやくゆっくりお祝い出来ると思ってたのに。

いや、オレがバスケを続けてる以上、大会スケジュールに合わせた生活になってしまうのは、申し訳ないとしか言いようがない。

「……えっと、はい……ごめんなさい、私の誕生日、7月7日なの」

「ええ!? 3年間もなんで黙ってたんスか!」

そんなのウソつく必要、ある?
インターハイの時期だったから?
いや、それにしても不自然。

「ごめんなさい……嘘をついていた訳じゃないの。私自身も、ずっと3月だって思ってたんだけど……」

色んな想像をしてみたけど、みわの口から出たのはもっと違う事情だった。


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