第21章 夏合宿 ー4日目ー
ごめんね、みわっち。
意地悪ばっかり言って。
オレ、みわっちがアイツとキスしてる写真見て、発狂するかと思った。
2日目の夜、倒れたみわっちを送って自分の部屋に戻ってから、メールに気づいて。
写真を見た瞬間のことはもう記憶にない。
センパイ達からも話し掛けられたみたいだけど、何も耳に入ってこなかった。
すぐに閉じてしまった写真を改めて見て吐き気がした。
みわっちの唇に、違う男のそれが重なっているなんて。
これを撮ったやつは、おおかたみわっちが浮気してるだのなんだのと思わせるために送ったんだろう。
でも一目でわかる。無理矢理だってことが。
どれだけ彼女と一緒にいると思ってんだ。
ふざけんじゃねーよ。
蟻地獄のような、もがいてももがいても前に進めない、抜け出せない、怒りの感情の中に閉じ込められた気がした。
だから翌朝、みわっちと同じ車で移動した時も、目を合わせられなかった。
口を開いたらどんな言葉が出ていくか、自分でも制御できなかったから。
その日は練習の合間に相手を特定する事に集中した。
あの角度だけの情報だと、なかなか手間取ったけど。
見つけた時、危うく殴りかかりそうになった……でも捕まえるのは夜まで我慢。
みわっちから見えるところでやりたくなかった。
みわっちが夜、各部屋の巡回が終わって入浴をしている間に捕まえて、事情を吐かせた。
怒りを全部ぶつけ話し終わった時、アイツは顔面蒼白で、話しかけても心ここにあらず、といった感じで反応が曖昧だった。
また明日、念を押しておかなきゃならないか。
許すつもりは毛頭ない。
部屋に戻ると、ちょうどみわっちも風呂から戻ってきたようだった。
湯上りで火照った頬。
可愛い浴衣姿に思わず目を奪われたけど、荒れた唇が先ほどまでのアイツとの会話を思い出させる。
みわっちが他の男を好きになるわけない。
分かってるのに、何度もみわっちに確認しないと気が済まなかったのは、最近感じていた彼女との距離で、不安になっていたんだと思う。
オレだって他の女なんか一切いらない。
オレを信じて、全部話して欲しかった。