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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第76章 清新


みわとの通話を終え、スマートフォンをそっと撫でる。

人体にフィットするように出来ているビーズが詰まったソファに、身体を沈めた。

今にも泣きそうなみわの声が耳に残ってる。
いや、もしかしたら泣いてたのかも……。

そりゃ、オレだって最初は、寝てるみわを起こそうかななんて思ったけどさ。

でも、あの寝顔を見たら起こせなかった。

あんなに弱々しく横たわるみわを見て、このコがどれだけ大切な女の子なのか、改めて自覚してしまったから。

姿を見ているだけで胸が痛くなるほどの感情を、抑える手段を知らなかったから。

起こして、話をして、微笑みかけられて……みわに必死にそんな事をされたら……自分を抑える自信が、オレにはない。

みわとの約束、オレのくだらない欲望なんかで台無しにしたくない。

オレ、ちゃんと待つっスよ。
好きだから。大事だから。

だから今は、ゆっくり休んで。

風呂に入ってから水分補給をし、みわに教えて貰ったストレッチを試す。

疲れを溜め込んだ身体が、ギシギシと軋むようだ。

それが終わると、駅に置いてあった、とあるチラシを眺めながら、ベッドへと潜り込んだ。

6月なんて、きっとすぐ。
忙しい日々を精一杯過ごしていれば、すぐだ。

今日は朝から移動、観戦、移動……とにかく疲れた。
ハードな練習でガツンとくる疲れとはまた別の種類のもの。

明日も朝早くから練習だ。
どんどんと重くなってくる身体をベッドに預けて目を閉じ、視界を黒に塗り潰した。

みわの柔らかい微笑みが、まぶたの裏に浮かんだ。



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