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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第76章 清新


「んん……」

昨夜、涼太と電話で話をした。
幸いにも、鼻水は出ていないから、電話口で気付かれる可能性は低いと思って。

涼太の大学が敗退した準決勝、勝負の大きな決め手となってしまったのは、ポイントガード……笠松先輩の負傷退場だった。

相手選手の足を踏んでしまい、軽い捻挫だそうだ。
先輩……大丈夫かな……。

涼太の声はいつものトーンだった。
彼は存外、試合に負けた後の切り替えが早いタイプだ。

でも、きっと人知れず悔しさで顔を歪めている事だろう。
……ひとりで。

私が、側に居てあげられたら……。
胸にまた後悔のもやもやが湧き出てくる。

ううん、過ぎた事を後悔しても仕方ない。電話が終わった後、またすぐに布団へ入った。
殆ど熱は下がっていたけれど、一応大事を取るという事で。

これで、治るだろうと思っていたのに……翌朝には、ぶり返したかの様にまた高熱が出てしまった。

涼太達が決勝戦まで進んでいても、これじゃ観に行く事は出来なかったかも……と複雑な気持ちになりつつも、薬を飲んで横になっていた。

明日は平日。
明朝になっても状況が変わらなかったら、朝一番に駅前の病院に行って来よう。

日中は、薬を飲んでもご飯を食べても眠気だけは訪れず、横になったり起き上がったりと布団の中で過ごした。

再び怠い体を起こして、あきが作ってくれた夕食を少し早い時間に食べてからは、先ほどまで眠れなかったのが嘘のように、するりと睡眠に入っていった。




むくり、起き上がった世界は漆黒。
どうやら、もう夜も更けたらしい。
久しぶりに、長い時間眠れたみたい。

頭も幾分かスッキリしている。
パジャマは汗でびしょびしょ。
熱は下がっていそうだ。

部屋の電気を付けると、布団のすぐ側に設置してある小ぶりのテーブルの上に、物が乗せてある事に気付く。

あきが買って来てくれたのかな。

スポーツドリンクに、栄養ドリンク。
喉越しの良さそうなフルーツゼリーと、
それと…………



私は、部屋を飛び出した。


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