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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第76章 清新


ぼふん、と布団に飛び込む。

少し目を閉じて、頭に浮かぶ事……

涼太のこと、勉強のこと、バイトのこと、自分のこと……事件のこと。

続けて、借りた雑誌の事を思い出して……。

涼太と、ずっと……そういう事、してない。
そもそも会ってないから当たり前だけど。

あんな事があって、私も、こころの準備が出来るまで待って欲しい、なんて言うからだ。

我慢、してるよね。
男のひとだもん。

でも……
ごめんなさい、まだ、無理かも……

もやもやもやと胸焼けみたいに胸のあたりが気持ち悪くなって、諦めて起き上がった。

だめだ。
考えないって、難しい。

やっぱり、本を読むのが一番かも。
うん、今日は本を読んで過ごそう。

リビングで水を1杯飲んでから、お気に入りの現代ミステリー作家の単行本を本棚から取り出して、一心不乱に読み耽った。

「みわ、夕飯どうする?」

あきにそう声を掛けられるまで、まさに没頭。
初めてかも、こんな風に、忙しく動かない日は……。

気付けばなんだか、頭が熱い。
ガンガンと響くような痛み。
喉まで、焼け付くように痛む。
集中しすぎたかな。

食欲……ないかも。

「ごめんねあき。私……なんか食欲ないや」

単行本を本棚へしまい、リビングへと出る。
突如寒さを感じて、身を震わせた。

「なんかみわ、顔赤くない? 熱測ったら?」

手渡された体温計。
熱? そんなまさか?

わき下に挟んだ体温計が計測終了を告げ、小さな枠を覗いたら……40.8℃。

なに、この数字?
あれ、平熱って何度だっけ?

「ちょっとちょっとちょっと! 超熱あんじゃん! 寝な! ご飯と薬持ってくから!」

あきに背を押されて、部屋へ逆戻り。
お布団へ入った途端、ぶるぶると身体が震え出して止まらなくなる。

「あき、なんか、さむい、かも」

「あったりまえでしょ! こんなに熱あんだから!」

あきは季節はずれの冬用布団を出してくれて、頭に冷却シートを貼ってくれて。

作ってくれたお粥と市販の風邪薬を飲んで、大人しくしていた。

眠らなきゃ、明日は準決勝。
早く熱を下げなきゃ、そう思うのに寝付けなくて。

どこまでも管理が甘い自分を呪った。

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