第76章 清新
翌日、午前中のバイトを終えて、お昼前には自宅に帰って来た。
あきも、今日の講義は午前だけって言ってたから、その内帰ってくるはず。
お昼ご飯は、簡単に焼きそばを作った。
「……さて……」
ゆっくり、してみようかな。
食後に淹れた緑茶を手に、部屋へ戻る。
ひとくち飲んでため息をついてから、勉強机の前に座った。
あ、そうだ……この間の講義で気になった事があったんだよね。
「確か、テキストにメモしてあったはず……」
鞄を探っていて、ハッと気付く。
違う、多分これは違う。
……NBAのDVDでも観ようかな?
参考になる展開とか……
……これも、違うかな。
……いつか読もうと思ってた単行本でも読もうかな?
でも、読み始めたら何時間もかかっちゃうしな……
「ただいまー」
そんな事をウダウダ悩んでいると、あきが帰って来た。
ここは、あきに相談だ。
「いただきまーす」
焼きそばとスープの前で、あきは丁寧に両手を合わせた。"みわを見習って"なんだそうだ。
「はい、召し上がれ。……あきはさ、空いてる時間とか、何してる?」
「ん? 空いてる時間? 雑誌読んだり音楽聴いたりしてるかな」
それだ!
「あき、良ければ雑誌、貸してくれない!?」
「ん? いーよー。これとか良さげかもしんない。ついでになんかCDも貸そうか?」
「CDは大丈夫! ピアノクラシックのCD持ってるから!」
「あ……そ、そう。ならいいんだけど」
「ありがとう! 大事に読むね! 私今日、頑張らないで頑張るから!」
「……ん? あ、ああ、頑張れ……?」
こうして私は、ゆっくりする休日への第一歩を踏み出したのである!