第76章 清新
最近、食事をあまりまともにとっていなかった。
睡眠に関しては壊滅的状況だ。
食欲がないから、無理に食べて気分が悪くなるよりいいかと思っていたけれど、頑張ってちゃんと食べよう。
つい、日常の忙しさにかまけて自分を管理する事が疎かになる。悪い癖だ。
涼太もあんなに頑張っているんだから。
無意識に、ぐっと握り拳を作っていることに気が付いた。
降りた駅、ホームに人は殆どおらず、閑散としている。
時間は、夕飯時を過ぎたくらい。
あきにメッセージを送ったら、"駅でメッセージくれたらご飯あっためておくよ"と言ってくれた。
こころの中で感謝しながら、改札口へと向かう下りエスカレーターに乗った。
身体に残る疲労に、ひとつ息を吐く。
やはり、人が沢山いる所に行くのは消耗が激しい。
観戦する時も、女性の隣に座るようにして。
電車も、混んでない車両に乗るようにして。
歩く時は、出来るだけ人に目を合わせないように。
……普通に生活できるようになりたい、そんな風に改めて考えさせられる日。
それもきっと、疲れているから。
ご飯を食べてお風呂に入ったら、勉強はほどほどにして今日は寝よう。
少し疲れが溜まってるのかもしれない……
終点へと流れていくエスカレーターから降りようとして足を踏み出したら、視界がぐらりと歪んだ。
いけない、めまい?
そう思ったけど時既に遅く、目の前が真っ白に染まり、足元がぐらつく。
エスカレーターはちゃんと降りた?
感覚が、ない。
天地がわからなくなって、意識が波間を漂うようにあやふやになる。
次の瞬間、身体を誰かが支えてくれたような感覚があった。