第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい
「そこの角のコーヒーショップ、なかなか美味しかった! なんか、雑誌に載ったりして結構有名どころみたいだったよ」
「わ、今度行ってみます」
姉ちゃんが迎えに来てくれて、……みわと、離れ離れになる時間だ。
寂しさがジワジワと湧いてくる。
でも、みわの口から飛び出したのは、別れの挨拶じゃなくて……
「あの……お姉さん。涼太くんが手伝ってくれたので、今日片付けようと思っていたところまで、もう終わったんです。
一旦自宅に戻るので、あの、私も……途中まで乗せて行って頂けませんか?」
「モチロン! 乗って乗って!」
まさかの。
まだ、一緒に居られる。
だらしなく頬が緩んでいくのを感じた。
姉ちゃんが会社のヒト(って言ってるけど、多分彼氏だと思う)から借りた、ホワイトのボディカラーのミニバンに乗り込む。
行きは段ボールがあったから、オレが助手席に乗ったけど……
「あ、涼太。私、さっき買い物してきた荷物を助手席に置きたいから、アンタ後ろ行って」
……姉ちゃんは、オレに100%協力してくれるらしい。
みわと2人で、2列目に乗り込んだ。
「あ、そうだみわちゃん、バイトするって言ってたよね。もう、場所は決まってるの?」
「あ、いえ、まだなんです……」
まさにさっき、2人で頭を悩ませていた話題。
「私の友達がこの辺りで仕事してるのを思い出してさ。さっきメールしてみたら、バイトさん募集してるみたいだけど、どうかな?」
「本当ですか? 条件に合うようなら、是非お願いしたいです!」
"条件に合うようなら"これが一番難しいって、みわもよく分かってる。
でも、みわはチャンスを無駄にするような愚かな人間じゃない。
「オッケ〜。じゃあ、詳しく聞いてまた連絡するね」
「よろしくお願いします!」
こんなに頑張っているみわに、もうツライ思いはさせたくない。