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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい


「みわ、ごめんね。軽率だったっスね」

静かに身体が離されて、熱が離れていく。
目に入ってくるのは、申し訳なさそうな顔。

「違う、違うの、違う、まって」

舌がもつれる。
伝えたい言葉が出てこない。

そうじゃないの。
拒否してるんじゃないの。
誤解されたくない。

「お願い、違うの、ごめんなさい、ごめんなさ」

嫌わないで。
嫌わないで。
嫌われるのが、怖い。

ずっと、頭の中に流れ続ける下卑た笑い声が、止まらない。

欲望に塗れたあの顔たちが、網膜の裏側に張り付いて離れてくれない。

あんな風に人間以下の扱いをされた私が幻滅されてしまわないか、不安でしょうがない。

こんなの、振り出しに戻ってる。
涼太と最初に会った時に、逆戻りしてる。

あれだけ時間をかけて縮めた距離がまた開いて、うんざりするよね。
面倒臭くなるよね。
もう、嫌になっちゃうよね。

「……みわごめんね、オレ本当に考えナシで。みわに触れたいって、そう思ったら止まんなくて」

軽率だなんて、言わないで。
謝らないで。
私に触れたいって思ってくれたの、凄く嬉しいの。
私も、触れたい。
触れられたい。

「違っ、あの、いいのっ」

「上手く言えないんスよね、分かってる。オレは何にも思わないよ、大丈夫」

ぎゅっと握ってくれた手が、あったかくて。

「いや、何にも思わないって、誤解されそうっスね……そうじゃなくてさ、うーんと」

嫌われる?
嫌になっちゃう?
……違う……

涼太は、そんな事思ったりしない。

誤解したりしない……ううん、誤解しないんじゃない。
もし誤解しそうになっても、ちゃんと私の話を聞いてくれる。

理解しようとしてくれる。

そういう、ひとだ。
このひとは、そういう、ひと。

だから私も、ちゃんと……ちゃんと彼の気持ちに応えないと。
思っていることを、伝えないと。



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