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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい


失敗した……!

なんで、箱になんて入れておいたんだろう。
いつも通り、鞄に入れておけば良かった。
恥ずかしい……!

慌てて隠そうと伸ばした手はあっけなく涼太に捕まり、くいと引かれるとあっという間におひさまの香りに包まれた。

ぎゅ、と抱きしめられた後に、するすると頭を撫でられて。

「涼、太……」

「も、みわ、可愛い。メチャクチャ可愛い」

まるで子どもをあやすみたいに、後頭部から下りていく指が……まるで、愛撫をされているみたいに気持ちがいい。

「……っ、ん」

指の腹が首筋を撫でた途端、声が漏れそうになってしまった。

「みわ、可愛い……好き」

ふわ、と髪にキスされたのが分かる。
片手で背中に触れられると、ゾクゾクと鳥肌が立って、思わず背を反らせてしまう。

「相変わらず背中弱いっスね、みわ」

くすくすと甘い笑いを零しながら、肩甲骨の辺りを撫でたり、腰に回ったり、お尻に触れたり……涼太が触れたところから火がつけられているみたいに、身体が熱くなっていく。

頭までぼうっとして、このままじゃおかしくなっちゃう。

「っ……りょう、た」

縋り付くように涼太の胸にしがみついて、ひたすらに顔をうずめた。

好き。
大丈夫、大好き。
身体が、どうしようもないくらい、熱い。

のに

気持ちが、ついていかない。

今まで私は、どうやって彼に身体を触られていたんだっけ。
胸の辺りが不安で、ぐちゃぐちゃしてる。

「涼太、や……っ」

もう、名前を呼ぶしか出来なくて、それ以上の言葉が出てこない。

はぁ、はぁと呼吸が乱れてくる。
落ち着かなきゃ、ダメなのに。

「みわ、怖い?」

彼の声に、心配する色が加わってくる。
違う、違うの。怖いんじゃない。
でも、何が違うのか分からない。

「大丈夫、怖くない……」

大好き。
それだけなのに。

頭の中が絡み合った糸のように複雑化してて、真っ直ぐにしようと思えば思うほど、ほつれた糸で埋め尽くされていく。


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