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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい


部屋はそれほど広くないけれど、大きなクロゼットが備え付けられていた。

みわの少ない衣類なんて、全部ハンガーに掛けてしまえるだろう。

みわは、段ボールから取り出したハンガーに、丁寧に衣服を掛けていく。

オレはその間に、他の段ボールを開ける。

靴も鞄も、使い古した物ばかりだ。
オレが買ってあげたのも、大事に使ってくれてるんだろう。

最後の1箱は、みわの私物だった。
ジロジロ見るのも悪いよな、と思いつつも、それほど量も多くないから、つい目に入ってしまう。

みわの部屋では見覚えのない大きめの薄い黄色のポーチが目に入った。

汚れひとつないそのポーチ、きっと大切にしているんだろう。

開けて見ちゃおうかな、そんなイタズラ心が顔を出したけど、やーめた。

「みわ、これ何が入ってんの?」

「どれ? ……あ、っ」

正直に質問したら、振り向いたみわが、赤面して固まった。

「見ていい?」

そんな反応をするなんて、気になる。
余計に、気になる。

「あ……う、ん、大丈夫、だけど……」

「んじゃ失礼」

チィとファスナーを開けると、中にはふわふわのタオルが入っている。
なんだろうと手に取ると、タオルの間に何か挟んである感触。緩衝材代わりに入れていたんだということに気付く。

なんだろ、傷ひとつ付けたくないような大切なもの?

ぱらり、タオルを開くと見覚えのあるアイテムがころころと出てきた。

香水に、ボールペンに、指輪に、南男猿。
その他の物も、全部よく知ってる……
……全部、オレがあげた物だ。

「これ……」

「や、やっぱり見ないで! だめ!」

「はは、もう見たって」

「だめ……! 見なかった事にして!」

ゆでダコみたいな顔をして必死に腕を伸ばしてくる。

ポーチをそっと箱に戻して、その腕を、捕まえた。



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