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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい



貰ったボディソープを、忘れないように自分の荷物の横に置いて戻ってくると、涼太が私をじとりと睨んでいた。

……何か、怒らせるようなこと、しちゃった?

「……えっと、なにか、ある?」

「みわさあ」

「うん?」

「さっきから、オレを誘惑しないでくんないっスか」

……誘惑?
誰が? 誰を? 涼太を? え?
オレを誘惑、ってことは、私が……

「しっ、してないよ! なに、なんで?!」

どちらかというと、誘惑してくるのは涼太だもん!
いっつも、そうだもん!

「ほっぺた、リンゴみたいに真っ赤にしてさ」

ほら、涼太はいつも、気付けば私との距離を詰めて……

すり、と左頬を撫でるのは右手の人差し指。
少し屈んで向かってくる唇が、私の唇を塞いで。

……こころごと、奪っていく。

ふわり、涼太の匂いに包まれながら、ゆらゆらと波に乗っているかのように意識を委ねていると……

バタンと、扉が開いたような音。

「涼太、次はどれを積む……」

……っ、え?

部屋に入って来たのは、涼太の……お父さん。

え?

「なんだ、もう乗らないって言ってなかった?」

「積んでみたらまだあと1箱いけそうだったんだ。ハハ、お邪魔だったか」

「見りゃわかんだろ」

涼太は焦った様子もなく、すっと唇を離してお父さんとお話している。

……この間涼太のご実家で見た、2人のやり取り。

いや、違うの。
論点はそこじゃない。
ま、まって、待って。
み、み、み、見られた!!

彼氏のお父さんに、彼氏とのキスを見られました!!!

笠松先輩に続いて青峰さんにも見られて、私はどこまでいけばよいのでしょうか!?

「そう言えば父さんな、昔もこんな事があったんだよ。空港で整備士やってる同期がいてさ、ソイツが彼女をスタッフルームに連れてきて」

「聞いてねーし! ちょっと空気読めっての!」

「いや、その時のラブラブ具合が今のお前たちとよく似てるなと」

「マイペースかよ! 聞けよ!」

涼太がまさかのツッコミ役になるという、不思議なお父さん。

その後、変わらず2人は何か言い合ってたけど、私はぽかんと放心するしかなかった。


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