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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第21章 夏合宿 ー4日目ー


「オレの方がズルいって言ったでしょ……オレ、全部知っててあーゆー事したんスもん」

「……黄瀬くんは、どうして知ってたの……?」

「……いや、みわっちが倒れた日の朝、みわっちの様子見てなんかおかしいとは思ってたんスけど、夜オレのスマホに写真が送られてきて」

「え……」

「フリーメールアドレスからだったから差出人は分かんなかったっスけど、……キスしてる写真」

写真……見られてたなんて。
いきなりそんなものが送られてきたらどんな気持ちになるだろう。ゾッとする。

私なら、絶望してしまうかもしれない。

「それで……次の日は凄く怒ってたんだね……」

あの目を思い出すと、今でも寒気がする。
何者も触れられない空気感。

「そうっス。センパイだからってぜってー許さねーって、アタマきてて。
あの日は落ち着いていられなかったっスわ」

「……先輩に怒ってたってこと?」

「他に誰に怒るんスか?」

「いや、自分で言うのもアレだけど、浮気しやがってー、っていうのとか……」

黄瀬くんはキョトンとした表情でこちらを見た。

「いや、どう見ても無理矢理だし」

……私がさっきあの人に見せられた写真だと、正直、無理矢理かどうかなんて分からなかった。

見ようによっては、合意の上でしているようにも見える写真だったから。
向こうもそれを狙って撮ったんだと思う。

黄瀬くんがスマートフォンを取り出す。

「コレっスよね? あんま見たくねーけど」

画面に表示された写真は、確かに今日、先輩に見せられたのと同じものだ。

「なんでこれだけでわかるの……?」

「だって、みわっちキスしてる時こんな顔しねーし。まず目開いてるのがあり得ねーし」

「……えぇ?!」

「もっと、オレとする時は顔も舌も身体もどろっどろに蕩けて、もっともっとってしがみついて欲しがるじゃないスか……だからね、これが本当の『浮気現場』の写真なんて事、あり得ねーんスわ」

「まさか、そんな事で判断してたなんて……」

「"そんな事"はないんじゃないスか。
オレみわっちのあの顔見たくていつも弄ってんのに」

黄瀬くんが上目遣いでいたずらな顔をした。

「ちょ、っと待って」

これ以上恥ずかしい事を言われたら、顔から火が吹き出して倒れるかもしれない。


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