第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい
翌日。
春風もおやすみしているのか、ここ数日の春の嵐が嘘のように、凪いでいた。
さくら、ひらひら。
今日の花びらたちは、ひらひらりんと、まるで機嫌良く踊っているかのようだ。
結局昨日は深夜に帰宅した。
起きて待っていてくれたおばあちゃんに、涼太はきちんと挨拶してくれて。
「卒業おめでとう、みわ」
改めて言われたその言葉がじんと沁みて、何度もありがとうの気持ちを伝えた。
おばあちゃんは今日は用事があるからと、私が起きる前に出掛けてしまったから、私は遅めの朝食を軽く済ませて、お茶を用意して居間のテレビをつけた。
普段、平日のこんな時間に観ることのないテレビ番組。
ワイドショーでは、芸能人のスキャンダルが報じられている。
何気なくスマートフォンを手に取ると、メッセージアプリのアイコンに1の表示。
開いてみると、あきからのメッセージだった。
"やっほー、忙しくしてる?
もう、来月からの家決めた?
悪いんだけど、まだだったら
連絡くれないかな?
ちょっと相談したい事が
あってさー。"
"お願い!"と、可愛いウサギのスタンプ付き。
"まだ決めてないよ、どうしたの?
電話の方がいいかな?"
と、簡単に返事を送った。
すぐに既読マークがついて、返信。
"ごめんねー!
電話じゃなくて大丈夫!
単刀直入に言うと、
一緒に住まない?"
……ん?
単刀直入すぎて、ついていけない。
"何かあったの?"
……もっと聞かなきゃいけない事がある気がするんだけど、咄嗟に質問が出て来ない。
"あー、やっぱり
直接話した方がいいよね。
時間取れたりする?
電話か、ちょっと会いたい
んだけど"
……あきと会うなら、繁華街になるだろう。
いきなり行くのは、正直……不安。
"場所はどこにする予定?"
怖気付いている自分に喝を入れつつも、聞いてしまった……。
"今、みわんちの近く通るんだけど!"
「えっ」
慌てて、お茶菓子を準備した。