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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい


私が、皆の希望に……?

私にとっての涼太みたいに、少しでも、そんな存在になれていたの?

「ああー神崎先輩、余計に泣かせちゃいましたね……」

「……って、なんか今途中で、凄いオネガイ混じってなかったっスか?」

……うん、私もちょっとだけ、思った。

「あ、黄瀬先輩の隣に居て欲しいってやつですか?」

「そそ、ソレソレ。なんか代理プロポーズみたいじゃねえスか?」

「すんません……でも、本当にそう思うんです。黄瀬先輩と神崎先輩は、ふたりでひとつなんだって。どっちかが欠けたら、ダメなんです。おふたりが一緒に居るのを、ずっと見ていたいんです!」

シーンと一拍置いて、私以外のメンバーから大爆笑が巻き起こった。

「笠松! アドリブで何言ってんだよー! 先輩たち困ってんだろ!」

「いや、オレは全く困ってないっスよ! オレはみわとずっと一緒に居るっスからね!」

おお、と盛り上がる場内。
私はというと……追いつけてない、会話に。

涙は次から次へと流れてくるのに、周りは皆、楽しそうに笑ってて。

ど、どうしたらいいの?

「っ、えと……」

「神崎先輩、俺たちは先輩の笑顔が好きなんです。きっと、泣かせちゃうと思ったんで、コレ……いいですか?」

笠松くんに導かれるまま、フォトフレームを手渡した。

「ここ、空けておいたんすよ」

確かに、フォトフレームの右下は何も写真が入っていない空白スペースだった。
何か、意図があるのかと思ってたんだけど……?

「お待たせしました」

「あ、ありが……ぶっ!」

笠松くんが追加で挟んでくれた写真は、さっきの……謝恩会での涼太モノマネ写真だ。
本物の涼太を先頭に、残像のように踊っている姿が、鮮明に写されている。

堪らず、吹き出した。
だってもう、可笑しくて可笑しくて。

「あは、あははっ! これ、本当に面白かったね!」

泣いたり笑ったり、もう感情の振り幅が大きすぎてわけがわからない。

皆で写真を見て、更に笑った。


「これからは、夢に向かっていって下さい。先輩の座右の銘、"努力は人を裏切らない"って、先輩のためにある言葉なんだと思います」

こんなに、優しい世界。
私が、辛くて泣いていたのと同じ世界のはずなのに、こんなにも温かくて、柔らかい。


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