• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい


「……ううん、私がやったのは、そんな風に言って貰えるようなものじゃないよ」

1年生の時のウィンターカップ……涼太がオーバーワークで故障したのは、私の責任だ。

それを償った気になりたくて、同じ目に遭う仲間を見たくなくて、それで無意識のうちに笠松くんを使っただけなんだ、きっと。

「先輩はいつも、大した事してないってそう言いますけど、先輩の言葉には、いつも……愛、が、こもってて」

笠松ー、愛の告白かー!?
黄瀬先輩に殺されるぞー!
と、野次が飛ぶ。
笠松くんも、恥ずかしそうに頬を染めて。

「そんなんじゃねーってば! とにかく、あの、いつも練習中も、試合中も、先輩の言葉に……先輩の存在に、助けられました」

私の、存在に?

「先輩。先輩の価値が分かってないのは、先輩だけですよ。先輩がやってくれた事は、誰にでも出来るような事じゃないです」

私の、価値?

「先輩は、誰よりも真面目で、強くて、優しくて。自分に厳しくて、人には優しすぎるところとか、すげえなっていつも思ってて」

え、なに、なに?

「先輩が教えてくれた"得意冷然、失意泰然"
……うまくいっても浮かれるな、失敗してもクヨクヨするなって言葉、いつもこころの中で唱えて、試合に挑むんです」

笠松くんの後ろで、皆がウンウンと頷いている。

「もう走れないって思っても、あれだけやったんだから大丈夫っていう、神崎先輩の言葉で、走れるんです」

何が起きてるのか、処理が追いつかない。

「神崎先輩を、勝たせてあげたいって思うと、力が湧いて来たんです!」

これは……現実?

「俺たちからのお願いです。黄瀬先輩と、ずっと一緒に居て下さい。黄瀬先輩の隣には、神崎先輩が居なくちゃ、ダメなんです」

目の前が、滲んでよく見えない。

「神崎先輩! 俺たちの希望になって下さって、本当にありがとうございました!!」

頬を温かいものが滑り落ちると、皆の顔が、よく見えた。


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp