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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい


良かったね、涼太。
本当に、良かった……

「ちょ、みわ、泣きすぎ! 大丈夫っスか? 目も鼻も真っ赤っスよ!?」

「う、ごめんなさい、だって、だって……」

嬉しくて、嬉しくて。

涼太がずっとひとりで背負ってきたエースの責任が、主将の重圧が。

ウィンターカップの優勝でようやく報われたと思ってたけど、更に皆にこんな風に言って貰えるなんて。

止めようと思っても、止まらない。

「うぅ〜……」

「もう、みわはまったくさ……ホラ、みわのも読んでもらお」

笑いながらぽんぽんと頭を撫でてくれる手が、大きくてあったかい。


「じゃあ、最後に……神崎先輩」

「……っ、はい」

笠松くんは、薄い黄色の封筒から、同じ色の便箋を取り出した。

向こう側がかすかに透けて見える。
向日葵の柄の便箋だ。

「神崎先輩への言葉も……ありがとうございます以上の言葉を探したんですけど、見つからなくて」

笠松くんが微笑んでいる。
お兄さんにそっくり。
優しくて、でも意志の強い表情。

「神崎先輩、覚えてますか? 俺……僕が、レギュラーになりたくてなりたくて、がむしゃらに頑張ってた頃」

「うん……覚えてるよ。
ふふ、笠松くん、"俺"でいいよ」

涼太と練習するようになって、絶対にレギュラー入りするんだと決めた笠松くんの努力は、凄かった。

「っ、すんません。俺、とにかくレギュラーになりたくて、朝から晩まで走って、ボール持って、上手くなりたくて、強くなりたくて」

そう。
でもそれは、1年生の時の涼太そのもので……末路が、見えていた。

「そんな時、神崎先輩が声かけてくれたんですよね。なぜそんなに焦ってるのか、早く強くなりたいのかって聞いてくれて。それで、俺の気持ちを聞きながら、練習時間外のメニューまで考えてくれたんです」

「……そんな、私、大したことしてないよ」

「いえ、ただあのメニューをやれって言われても、俺は多分……こっそり自分でも勝手に追加練習してたと思います。先輩がちゃんと俺の気持ちを聞いてくれて、先輩の気持ちも聞かせてくれたから、安心してついていけたんです」


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