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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい


謝恩会の後は、笠松先輩や早川先輩達がそうしてくれたように、生徒だけでの二次会……体育館を借りて、最後の3 on 3。

「マジ……っ、バケモノ、かよ……」

勝負に負けた在校生3人は崩れ落ちた。
彼らだって、有名中学でそれなりの成績を上げて、海常を選んできた選手たち。

更に海常での熾烈なレギュラー争いに勝ち残った、屈強な戦士たちなのに。

そんな彼らをいとも簡単に捩じ伏せる涼太やその他の3年生を、尊敬の眼差しで見つめる後輩達。

でもその瞳の中には、憧れだけではなく、この先は自分達がチームを作っていくんだという決意が篭っている。

黄瀬涼太が卒業する……それはつまり、海常の黄金時代の終焉を意味する。

キセキの世代を擁していた学校は、どこも同じ状況だろう。
それがより一層、残された選手たちの想いを強めているのが分かる。

何度見ても深くこころに響く、伝統が受け継がれていく瞬間。


「はは、まだまだっスね」

そう言って汗で濡れた髪をかきあげ、太陽のように微笑んでいるのは涼太。

「おっと、もうこんな時間。片付けて帰るっスよ!」

主将だということに驕らず、練習後はいつも誰よりも先にモップを取りに行っていた。

「黄瀬先輩より先に行くぞ!!」

そう言って駆け出した後輩達。
涼太も面白がって全速力で走ってる。
まるで、鬼ごっこ。

今まで全力で試合をしていたはずなのに、そんな体力がどこにあるのか。

モップを奪い合う姿がまた、面白くて。
キオちゃん達と大笑いした。

……私、まだ笑えるんだ。
死んでしまったこころ、まだ、取り返せる?

卒業式だって、ちゃんと出来た。
これを自信にしていこう。
少しずつでいいんだ。
普通になれるまでは、時間がかかるかもしれないけど……。



「神崎先輩、ご卒業おめでとうございます!」

「プレゼントなんて、気を遣わなくていいのに……」

今まで先輩方にしてきた事も、自分がいざされるとなると、どうしていいか分からなくなる。

これは……なんだろう?
A4用紙程のサイズの板状のもののようだ。
包装紙の上からじゃ、中身の正体は分からない。

「開けてもいい?」

「勿論です!」

皆の笑顔に見守られながら、海常ブルーの包装紙を開き始めた。


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