• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第21章 夏合宿 ー4日目ー


小堀先輩が、いつもの優しい顔を歪めて問いかけた。

「……で、悪いんだけど俺たち状況を全く掴めてないんだけど、経緯を説明して貰える?」

「……えっと……私が先輩に告白されて……」

「……カンタンに言うと、さっきのアノヒトがソイツを利用して、オレに嫌がらせしようとしたみたいっス」

「おまえ、本当に簡単に済ませたな……」

森山先輩が呆れた声で言う。

「……スミマセン。またオレのせいっスね」

なんで黄瀬くんが謝るの。

「黄瀬くんのせいとかじゃないです! 皆の前を行く人は、妬み嫉みをどうしても抱かれやすいものですし……」

「黄瀬、おまえカッとなると暴走するし、神崎もキレたらだいぶ激しいし、とりあえず落ち着け」

「……神崎、怖かっただろ。
無理に連れて来ちゃったけど、部屋に戻るか?」

小堀先輩にそう言われて、一瞬呆気に取られてしまう。

「……え……あ、あの、なんか本当に頭に血が上っちゃって……怖いのはあんまり記憶になくて……売り言葉に買い言葉で、私があんな言い方をしたので、先輩も逆上してしまったんだと思います。反省、しています」

あんなに頭にきたのは初めてかもしれない。
怒りで我を見失うなんて……

「そうか。今回はアイツが卑怯な手を使おうとしたのが100%悪いけど、今後は諍いになった時に怒りを煽らないようにな」

「はい……」

「やっぱり、オレがいるからこんな事ばっかり起こるんスかね」

黄瀬くんが俯いて拳を握っている。

「何言ってんだ。うちの部員、何人いると思ってんだ。部員同士のトラブルなんて、それこそ日常茶飯事だよ」

森山先輩は、いつも通り優しく微笑んでいた。

「でも……」

「だから部員同士で助け合うのが必要なんだって。おまえら2人とも自分で抱え込むタイプだからさ」

……ぐうの音も出ません。

森山先輩が立ち上がって黄瀬くんの肩を叩いた。

「……ま、気にしたって仕方ない事もあるって。
内容は俺たちから笠松に伝えておくから、今日はもう戻れ。まだ合宿はあと1日あるんだからな。ちゃんと集中しろよ」

「バスケは集中して……やってるっスよ……」

「分かってるよ」

「……中村センパイも、スミマセンでした」

「いや俺は正直、ついてきただけだから」

小堀先輩、森山先輩、中村先輩は、先に部屋へ戻っていった。

/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp