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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第21章 夏合宿 ー4日目ー


「……この野郎……」

凄い力で髪を引っ張られる。
痛い。頭皮ごと剥がれてしまいそうだ。

「痛……っ、コソコソと裏でしか動けない臆病者! 黄瀬くんの努力も知らない癖に!」

なんて自分勝手な理由だ。
許せない。

「黙れ!」

「ぐっ……!」

顔を、洋式の便座のフタに押し付けられた。
悪臭が鼻をつく。

後ろ向きにさせられているから、相手の顔は見えない。

「黄瀬くんは確かに才能ある人だけど……才能があるだけじゃ、あんな風にはなれない……貴方の発言は、黄瀬くんに失礼だわ! 撤回して!」

「その減らず口、きけなくしてやるよ!」

先輩はハーフパンツに手をかけてきた。
強引に下ろすつもりだ。

「やッ……やめて!」

「うるっせー!」

無我夢中で身体を捩って逃げてもすぐに、凄い力で押さえつけられる。

嫌だ。嫌だ。なんでこんなに力の差があるの……!

「は、離してっ!」

「みわっち!」

……
声がした。今、確かに黄瀬くんの声が。

「なッ、黄瀬、お前なんでこの階に……」

驚いた隙に、手が緩んだ。
すかさず振りほどいて、全力で突き飛ばす。

不意を突かれた身体は、反対側の壁まで吹き飛んだ。

「ってぇ……神崎テメー……」

「……ナメてんじゃないわよ……! 黄瀬くんにイチャモンつけようなんて、100年早いわよ! 貴方、エースのプレッシャーが
どんなものか、分かっているの!? 苦しみも分からないのに…何も知らないのに勝手な事ばかり言わないで!」

「……ストップ」

……え……今の声……
頭に血が上って、黄瀬くんの声がした方を全く確認していなかった。

見ると、笠松先輩を含めたレギュラー陣が。
小堀先輩は、黄瀬くんを押さえつけている。

「センパイ! 離して下さいっス!」

「オマエ、何するか分かんないからちょっと待てって……」

「せ、先輩方……」

「笠松、なんでお前らまでここに……」

「2年のヤツが、オマエが神崎をトイレに無理矢理連れ込んだって、俺たちに報告してきたんだよ。ちょっと別室で話そうか」

先輩は、笠松先輩と共に、出て行ってしまった。

「神崎、大丈夫? 歩ける?」

「だ、大丈夫です……ちょっと、頭に血が上っちゃって……」

私たち5人は、笠松先輩達とは別の会議室に入って話をすることになった。


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