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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい


「しばらくはみわちゃんも涼太も落ち着かないと思うけれど、新しい生活に慣れたら、また遊びに来てね。皆、待ってるから」

「はい、……ありがとう、ございます」

ほろ、ほろ。
あれ、なんでだろう。
なんで、こんなに胸があったかくなるんだろう。

左手が、痛い。

「みわちゃん?」

「あの、私……すみません、なんか……っ卒業、だからかな」

抑えようとすればするほど目から涙が溢れてしまいそうで…

「みわ?」

背中から聞こえるのは、涼太の声。
おばあちゃんも、不思議そうな顔だ。
当たり前だよね、なんで突然。

ああ、皆を心配させちゃうよ。
早く、いつも通りに戻らなきゃ。

とにかく涙が出ないように乱暴に顔を両手で擦っていると、優しい花のような香りに包まれた。

……涼太の、お母さん。
ヒールを履いているから、私よりも身長が高い。
抱きしめてくれたその身体は柔らかくて、あったかくて、優しくて……。
本当のお母さんみたいだ。

「……みわちゃん、よく……頑張ったね。辛いこと、いっぱいあったでしょう。お疲れさま」

左手が、じんじんと痛い。

涼太のお母さんは、事情を知らない。
なのにこんなに優しくしてくれるのは、なんで……?

分からなくて、どうする事も出来なくて、暫くその胸をお借りしてしまった。
ありがとうございます、小さく小さく出たその呟きは、届いたかな。

ううん、届いてなくても、きっと伝わってる。
ありがとう、ございます。



フッと、電気が消えた。
ざわついたのも束の間、会場の端に設置されているステージに、スポットライトが当たる。

「ご卒業おめでとうございます!!」

毎年恒例、在校生の催し物。
いつも、レベルの高い仮装や女装で歌い踊る姿が保護者にも人気で。

今年は、何を見せてくれるのかな?

以前、あきがCDを貸してくれたイケメンダンスグループのヒット曲のイントロが会場に流れ出した。


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