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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい


廊下に出て、手を繋いで歩く。
まだ帰宅せずに残っていたらしい数人の女子が、羨ましそうにこちらを見ているのを感じる。

ちらり、廊下から見た教室。

涼太と同じクラスだった時。
違うクラスだった時。
どんな時も、このドアの窓越しに、彼の姿を探してた。

バスケが生活の殆どだった私達には、実はクラスでの想い出というのはあまりない。

クラスの想い出と言ったら……

「2回もお化け屋敷やったの、ウチらくらいじゃないっスかね?」

「ふふ、ホントだね」

学園祭の、お化け屋敷。
1年生と3年生で、2回もやることになった。

まあ、1年の時は広告配りだけだったから、参加はしていないのと同じだったけど……。

3年生は飲食店が出来るから、皆で飲食店をやりたいって言ってたけど、確か……学祭委員が飲食店をやる為のクジ引きで、ハズレを引いちゃったんだっけ。

懐かしいな、あの時確か、オバケ役で……

「みわ」

私が想い出に浸っていると、いつものように名前を呼ばれて、繋いだ手を引かれて。

私達は既に誰もいなくなっている空き教室に足を踏み入れた。

先ほどまで生徒達がいた教室は、どことなくその温もりを残しているように感じる。

「え、なぁに? 涼太」

涼太はその質問には答えず、窓際まで歩いて行ってしまう。

どうしたんだろう?

窓の外は、グラウンドだ。
ここは3階だから、生徒の顔までは視認できないけれど、周りのトラックで陸上部が、中央ではサッカー部と野球部が練習している。

そして、彼らを見守るように舞う桜の花びら。
八分咲きの応援団。

「わ、綺麗」

涼太は、これを見せてくれようとしたのかな?


彼の意図が知りたくて振り返ると、いつの間にか背景が薄い黄色に染まっている。

これ……カーテン?
私達……カーテンに包まれて、る?

「どうし……」

問おうとして、その琥珀色の瞳がすぐ眼前まで来ているのに気がつく。

咄嗟に息を呑んで、目を瞑ってしまった。

「オバケの中でさ、したっスよね……キス」

すり、と鼻の頭に何かを擦り付けられて。
目を開けると妖しく微笑んだ涼太の姿。
さっきのは彼の唇、だったんだろうか。

キス……されるかと思った……!



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