第75章 ※章名については1627Pをご覧下さい
それからは、距離を縮めたくて、頑張った。
それが恋なのか、単なる興味なのかは、最初……分かんなかった。
一所懸命に頑張る姿、時々オレに見せてくれる優しい微笑み、心遣い……気付いたらもう惚れてて。
オトコが怖いっていうみわを怖がらせないように、無闇に近づかないように。
でも、自惚れかもしんないけど、みわもオレに興味持ってくれてるような気がして……それで、グイグイいっちゃったんスよね。
今となっては、山ほど反省する点はあるけど……うん、結果オーライっスわ!
彼女に出逢ってから今日までの、様々な記憶や思い出。
全部鮮やかに、でも優しくオレのこころの中に残ってる。
「黄瀬君、だから、わたし」
「ごめんね。みわは特別。みわの代わりになる女なんて、いないんスよ」
「……」
「ありがとう。好きに、なってくれて」
ありがとう。
みわが大事だって、改めて気付かせてくれて。
教室に戻ると、みわはあきサンと抱き合っていた。
「あ、黄瀬」
「……あきサン、今日だけは特別っスよ……」
「あ、涼太……おかえりなさい」
ぐしぐしと鼻を擦っている。
恐らく、友人たちと別れの挨拶をしたんだろう。
「じゃ、あたしもう行くわ。黄瀬は暫く会わないよね、元気でね〜」
「あーうん、あきサンもお元気で。みわをヨロシクっス」
そう言って、あきサンは手をひらひらと振りながら去って行った。
オレが言うのもなんだけど、卒業っぽい空気は全くない。
教室内には、もう殆ど人は残ってない。
みわと過ごした学校生活も、終わり……か。
「涼太……謝恩会、行く?」
ポケットティッシュで鼻を拭いながら。
「んー……そうっス、ねえ」
「行く、前に……学校一周、しても、いい?」
「ん、行こっか」
その細い手を取って、想い出巡り。