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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱






翌々日、オレたちは朝から体育館にいた。
今日は、卒業式のリハーサル。

式の流れを最初から通して行うという、オレ的には、なんでそんなのやんなきゃなんないのかな、って思うようなイベント。

まあでも、ぶっつけ本番じゃ色々良くないんだろうな。
試合なんていっつもぶっつけ本番なのにな、なんてまた訳のわからないツッコミをして。

久々に、制服を着て登校だ。
これも、明日で終わるんだと思うとヘンな感じ。

みわは、今朝……退院した。

無理するべきじゃないとは説得はしたけれど、みわも新生活の為に色々準備をしなければならないということで、渋々というか。

あのまっすぐな瞳を向けられてしまうと、勝てない。

でも、少しでも良くない状態になれば、すぐに再入院するようにと話はつけている。

今日のリハーサル……大丈夫かな。

実際の式のようにキッチリやるわけではないらしいけど、人前に出て行くのは、本番と同じだ。

卒業生の名前がひとりひとり呼ばれて、オレたちは起立する。

そして、最後の1人が呼ばれた後……

「卒業生 総代 神崎 みわ」

「はい」

……凛とした張りのある声。
立ち上がったみわは、全員を代表して卒業証書を受け取るべく、そのまま壇上へ上がる。

「神崎さん、結局3年間トップだって。すごくない?」

「なんか雰囲気変わったよね、入学式ん時より」

「そりゃあ、やっぱあれじゃない? 黄瀬君と付き合ってたらさあ」

「アレってマジな話? バスケ部のマネやってるから立った噂じゃないの?」

「いや、マジっぽいよ。だってさ……」

「神崎って進学? 就職?」

「進学だろ、この成績で就職は勿体ねーよ」

「なんかエロいよな、後ろ姿とか……」

ボソボソとあちらこちらから聞こえるみわの噂話。
きっと本番では緊張して喋ったりすることは無いだろうに、リハーサルだからといってひどいものだ。

反論したくなる気持ちをグッと堪えて、残りの退屈な時間をやり過ごした。

さっさと終わって、みわと帰ろ。

……でも、リハーサルが終わって教室に戻って来ても、みわの姿は無かった。




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