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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


それから、少し他愛もない話をした。
合宿の話とか、バスケの話とか。

時計の進み方がこの部屋の中だけゆっくりになってるんじゃないかと思うほど、穏やかな時間だ。

みわはベッドに横になり、少しでも身体を休めながら。
胸につかえていたものが外れたのか、時折笑顔も見せてくれて。

「ありがとう、涼太。話、聞いてくれて……凄く、気持ちが楽になった」

「そっか、それなら良かったっス」

みわの頭を撫でていると、ポケットの中から振動を感じる。

「ん、ごめん、笠松センパイっスわ」

「私、お手洗い行ってくるからここで話してていいよ」

「サンキュ。モシモシ、センパイっスか?」

『忙しいとこわりいな。黄瀬オマエ、タオル忘れていかなかったか?』

「タオルっスか?」

『おう、なんか水色のストライプのヤツ』

話を聞きながら、練習中の事を思い出す。
そう言えば、時間がなくてポイッと放ったタオル、帰る時にカバンに入れた記憶がない……。

「あ、多分オレのっス。明日持って来て貰えますか? ありがとうございます、ハイ、失礼しまーす」

通話終了をタップすると、入り口の……トイレの方向から、鼻をすするような音が聞こえる気がする。

え、みわ? 泣いてる?

一瞬聞き間違いかと思ったが、そのすぐあとに続いた、うわああああんという泣き声に、地を蹴った。



「みわ!? どうしたの!?」

トイレのドアは開いていて、中にぺたりと座り込んだみわの姿。

「大丈夫? 気持ち悪い?」

「りょ、涼太……きた……」

「うん、来たっスよ、みわの泣き声が聞こえたからさ、驚いて」

「ちが、違うの」

みわはぶんぶんと首を横に振った。

「え? 何? 何がきたの?」

……もしかして……


「……生理、きた……」

ぽろぽろぽろ、今度は……安堵の涙。

「そっか、良かった……良かった」

ぽろぽろぽろ、みわの悲しみ、全部流して欲しい。

柔らかくなった声を聞きながら、固く抱きしめ合った。

ぽろぽろぽろ、あったかい涙が、オレの胸を濡らした。



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