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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


はっと気付くと、病室内が明るくなっていた。

棚の上に置いてある時計に目をやると、目が覚めてから3時間も経ってしまっている。

プリントやサイトを確認してたのだって1時間にも満たない時間だったはず。
ぼんやりしすぎでしょう、何してるの。

どれだけ時間があっても足りないと、そう考えたばかりなのに。

「……ぅ」

ベッドから聞こえる、小さな呻き声。
声のする方に目を向けると、涼太がうつ伏せになって枕に顔の半分をうずめて、もぞもぞしている。

……本当に、疲れてるんだ。
涼太はどちらかというと早起きは得意な方。

長期間の合宿の疲れが残っているんだろう。
それなのに、私の所に来てくれて……

「ありがとう。大好き、涼太」

小さな小さな声で囁いて……
そっと、頬にキス。

「ん……ムニャ……みわ、もー……食べらんない、って……」

可愛い寝言にくすくすと笑いながら、再び彼の横に寝転んだ。

集中出来ないなら、少しでも眠っておいた方がいい。

形のいい耳。
さらりとクセのない髪。
鍛えられた首は太く、肩までのラインが綺麗で、色っぽくて。

……大好き、だ。
こんなにも。

愛しいひとの姿を目に焼き付けながら、また少し、眠れた。





次に目が覚めたのは、日もだいぶ昇って来た時間だった。

室内の明るさが、増している。
太陽光の力強さは、朝のそれだ。

涼太は、先ほどと全く同じ体勢で眠っていた。
寝返りひとつ打たず、熟睡しているようで。

閉じられているにも関わらず、カタチの良さが分かる目を見つめていると、パチリと開いた。

「……ん、……みわ?」

「あ、おはよう、涼太」

いけない、ジロジロ見すぎて視線を感じさせてしまったかな。

そんな事を考えている間に、涼太は私に身体を重ねてきた。

そのまま重なる唇。

「ン……」

寝起きでまだ覚醒仕切っていない思考が、蕩ける。

「……あ、ごめん。寝起きなのに、そのままキスしたっスわ」

そんな事を気にする彼は、本当にいつも通りで。

あんな事件なんて、まるでなかったようで。



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