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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


口腔内に侵入してきた涼太の舌は、歯列をなぞり、上顎の弱い部分を器用に、執拗にくすぐる。

「っ……ぅ」

「みわ……」

キスの合間に名前を呼ばれている内に、また酸素が足りなくなって、頭がぼんやりとしてくる。

甘い、南国の香りのキス。

快感で、腰が揺れてしまう。
太もものもっと奥が、熱い。

ふたりの乱れた息と、緩く繋がれた涼太の右手と私の左手。

だめ、だめ……!

だめ、なのに……

快感が渦巻いているせいで行き場のなくなった言葉が、涙となって零れた。

「……っ、ふぅ、うっ」

「……みわ、イヤ? 怖い?」

嫌じゃ、ないの。
嫌なわけ、ない。
怖くなんかない。

大好き。
大好きなのに。

ぽろぽろぽろと、言葉の代わりに落ちていく水滴。

「みわ……」

「りょ、うた、ごめ、なさ、私」

あんな、あんな汚い男たちの醜い欲望を受け入れた口であなたと会話するのが、キスをするのが、苦しい。

でも、やろうと思えばどんな方法でも抵抗出来るのに、しないのは私、だ。

溶かすような、癒すようなキスに、抗えない。

「みわ、みわは今までと何にも変わんないよ」

優しい唇が、包むように降ってくる。

「っ、っ」

「そうでしょ? ホラ、いつものみわだ」

「っあ、ん」

「可愛い……」

どんどん、深みを増す口づけ。
意識まで、沈んでいく。
溺れていく。

「好きだよ、みわ」

「りょー……、す、き……」

もうそれ以上、会話はなかった。

軋むことのない上質なベッドの上で、ただひたすら唾液を啜り合うようなキスを重ね、お互いの存在を確認していた。




……でも、涼太はそれ以上、しなかった。
私が泣いていたからなのかもしれないし、元々その先までするつもりはなかったのかもしれない。

「みわ、大丈夫……?」

額に浮かんだ珠のような汗と、眦から落ちていく涙の粒を拭いながら、心配そうに覗き込む彼が愛しすぎて、涙が止まらない。

「っ、ふ、ふぇ……」

「みわ、ひとりで抱え込まないで、なんでも話して。センパイも言ってたっしょ」

迷って、迷って、でも耐えきれなくて。
ぽろり、零した。




生理が……来ないこと。



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