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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱




目が覚めると、いつもの寮のベッドの上だった。
……あまりよく、眠れなかった。

みわは、眠れただろうか。

今日から合宿だ。
場所は、関東から遠く離れた宮崎県。
この寒い時期に、南国での合宿は気温的にも最適なんだろう。

空港に向かう際、何度もスマートフォンを確認したが、みわからの連絡はなかった。

みわの性格だ、合宿に集中しろと、きっと気を遣っているのだと思う。

行ってきますと、それだけメッセージを送っておいた。

降り着いた宮崎の地は、空気自体が住み慣れた東京や神奈川のそれとは違い、どこか別世界に来たようで。

空の色が違う。
ポストカードを見てるみたいだな、と思った。

部員たちは、厳しい練習の日々とは分かっていても、浮き足立つのを抑えきれていなかった。

現地に着くと全員で軽く挨拶を済ませて、すぐに体育館への移動。

場所は運動公園の中にある体育館で、ベージュの建物が真っ青な空の中に浮かび上がっているようで、キレイだった。

みわを、連れてきてあげたい。
きっと、食べ物も美味いものばかりだろう。




宿泊場所は、体育館から徒歩ですぐのところにある、地元密着型のホテル。

部屋割りは既に決まっており、和室に5人組で泊まる形式になっていた。

「黄瀬、行くぞ」

練習も終わって、荷物をまとめてからメシの前にひと風呂……なんて思っていると、笠松センパイが呼びに来た。

「え? オレ風呂に入ろうと思ったんスけど……」

「何寝惚けた事言ってんだ。そんなのアトだアト。とにかく行くぞ」

そう言われて強く腕を引かれ、辿り着いたのは宴会場。
そこでは既に、センパイたちが出来上がっていた。

「ゲ……なんスか、これ」

「後輩はお酌して回んだよ。オマエ未成年なんだから、飲まされんなよ」

笠松センパイは、テーブルの端に置いてあるビール瓶を手にし、酔っ払いの一団に突入。
コップを手渡され、注いだり注がれたり。

……そっか、センパイってもう……成人したのか……

不思議な気持ちになっていると、ポケットに入れているスマートフォンが振動し出した。



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