第20章 夏合宿 ー3日目ー
「ん〜っ……」
いつもは、私に合わせてくれているキスだけど、今日のは違う。
「みわっち……みわっちはオレの、っスよね……?」
そう言ってこちらを見つめた眼差しはギラギラしていて、怖くすらあった。
そうだ。
これは、オレのモノだって、全身に刻み込まれるようなキス。
もう、目の前の黄瀬くんのことしか考えられない。考えたくない。
「はあっ……はあっ……そ、そうだよ……」
腰に力が入らず、ガクガクする。
「……オレそんなに、心広くねーから……」
「あっ……!?」
黄瀬くんは軽々と私を持ち上げ、敷いてある布団の上に私を寝かせた。
帯を強引にほどき、浴衣の前を開ける。
「やっ、ちょっと、何で……!」
今はショーツしか身につけていないから殆ど裸の状態なのに……!
慌てて前を隠す。
「……邪魔」
両手を頭の上で押さえられ、帯で縛られた。
なに、何が起きているの。
黄瀬くんの唇が、耳元で動く。
「……朝まで何回イケるか、試してみる……?」
「……っ!?」
唇は首筋から鎖骨を通り、胸を避けて段々と下へおりていく。
「あ……っ、やっ黄瀬くん、やめてっ……」
さっきのキスで、全身に力が入らない。
続けてくる快感に、ビクビクと身体が反応し続けている。
「黄瀬くんっ……どうして……あっ……」
「オレ以外のヤツに、触れられないようにするためっスよ……」
唇の通り道に、キスマークがついていく。
「ご、ごめんなさい……! 許して…! こんなの…こんなのやだよ……!」
「……こんなに感じてるのに? みわっちは、嫌と思ってても感じちゃうの? 強引に無理矢理されたいの?」
なんで。なんでそんな事……
「ちがっ……黄瀬くんに触れられると……こうなっちゃう……もう、やだぁ……」
涙が出てくる。
先輩から逃げられなかった私に。
黄瀬くんに嘘をつき続けてる私に。
快感に抗えない私に。
「みわっち、オレに言うことあるんじゃないの?」
「っ……え……」
「オレに隠してること、あるんじゃないの?」
「き、きせ……くん……?」
それだけ言うと、私の腕を拘束している帯を解いて、浴衣を着せた。
「……オレ、戻るね。カギ、ちゃんとかけて」
そう言って、黄瀬くんは後ろも振り返らず部屋を出て行ってしまった。