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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


「ハァ……ハァ……ッ、オレの、勝ち、っスね……」

酸素が一気に身体中に行き渡る。
それでもまだまだ足りなくて、ゼェゼェと荒い呼吸を繰り返した。

1週間バスケやってないと、こんなにも影響があんのか。
……初めてかも、こんなに長い間、バスケしてないの。

「……ッハ、だらしねーな、身体なまってんじゃねーのか」

センパイは、軽く息を乱しているだけで、ピンピンしている。

ハタから見たら、どっちが勝ったのか分からない状況。

「……ま、それでも負けは負けだ。死ぬほど悔しいけどな」

そう言うと、センパイはみわが差し出したスポーツドリンクを手に取り、一気に飲み干した。腹冷えそう。

……このヒト、何しに来たんだ?
意外すぎた。センパイがこんなにアッサリ、引き下がるなんて……

「俺は、まだお前がバスケを好きな気持ちを持ってるって分かったからな、それでいい」

あ……

"ゾーン"に入れる大前提は、"バスケを好きな気持ちがあること"。

センパイとの1 on 1、つい……楽しんでいる自分がいた。
本気を出さないと、勝てないと思った。
集中して集中して、集中のその先に行った感覚。

オレは、こんなにもバスケが好きだったのか。

クソ。
楽しんでどうするんだよ。
みわは、オレのせいで苦しんでるのに。

……スズサンは当初、すぐに父親に相談する事が出来ず、何度かエセモデル事務所に足を運んだらしい。

そこでは、オトナだけではなく、同じ位の年の男女もいたそうだ。
カモを捕まえるための、情報提供役として。

その中に、オレの校内ファンクラブのオンナもいた、らしい。
それも、あまり評判が良くない、過激な集まりのメンバーだったそうで。

それで、スズサンがバスケ部のマネージャーだと知っていたオンナが、みわを連れてくるように言ったんだと。

バラされたくなかったら、という脅し付きで。

……そんな事言われたって、スズサンへの怒りは1ミリもおさまりはしないが、オレにも多大なる責任がある。





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