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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


「オマエがバスケ、やめられるわけねーだろ」

「……」

その強い言葉に、出かかったオレの言葉は引っ込んだ。

"言霊"
センパイに教わった。言葉には、チカラがあるって。
強い想いを込めた言葉には、それだけのチカラがあるんだって。

ぶっちゃけ、実感した事はなかった。
自分の言葉がそれだけチカラを持ってるかなんて、確かめる機会がなかった。
まあ、確かめる必要もなかっただけなんだけど。

……ただ、みわの言葉にはいつも不思議なチカラがあった。

希望が湧いてくるような、こころがあったかくなるような、そんな言葉。

あれが"言霊"なんだと思う。

そして、今。
目の前のセンパイの口から発されているものも、間違いなく同類のものだろう。

「オマエにとって、バスケってそんなもんだったんかよ」

言葉の裏に、センパイの確かな気持ちを感じる。
それは、オレを信じてくれてるって気持ち。
ふざけんな、と言われた方がまだマシだ。

でも。
オレは……バスケを続けるわけにはいかねえんスよ。

みわの……みわに、償うんだ。

「オレ……オレは、もう、やめるんスよ。
決めたんス。オレは」
「黄瀬」

無意識のうちに、笠松センパイを見ないようにして喋っていた。

名前を呼ばれて、顔を上げると……
センパイの手にはバスケットボール。

「俺と1 on 1して、勝てたらオマエの言い分を聞いてやるよ」

変わらない不敵な笑み。
人差し指1本でクルクルとボールを回す。

「……」

「怖いのか? 俺に、負けるのが」

挑戦的な瞳は、試合の時のそれだ。
オレに"チームの絆"を、"エースの役割"を教えてくれたセンパイの……

「……分かりました。勝って、センパイにはさっさと帰って貰うっス」

「言うじゃねーか。3本勝負な」

センパイ、センパイが1 on 1でオレに勝てた事ないの、忘れたわけじゃないっスよね?



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