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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱




「……なん、で……」

なんで?

なんで、みわが知ってんの?
絶対に悟られないようにしてたつもりなのに。
そこまで考えてから、ひとつの可能性に気付く。

センパイが、みわに連絡を取った?
っていうのが、一番シンプルな予想。

いやでも、みわとずっと一緒にいたけど、外部と連絡を取っている様子なんてなかったし、そもそもそんな風に理性的な行動ができる精神状態じゃないはず。

でも、それじゃあなんで……

「小堀先輩から、連絡頂いたの」

予想を即座に肯定されて、驚きを隠せない。

「も、もー……センパイ、なんでみわに連絡すんだよ……」

いや、よく考えれば当たり前だ。
センパイたちの在学中から、オレたちは常にふたり一緒に行動してたし。

センパイたちだって、"黄瀬といえば神崎、神崎といえば黄瀬だろ"なんて言ってた事もあったじゃないか。

そんな、"よく考えればそんな当たり前"の事が見えなくなっていたのだと気付き、愕然とした。

冷静さを欠いていたのは、誰だ。

「合宿に行って、涼太。私も、頑張るから」

「そ……んな、の」

だって、合宿なんかに行ったら、次に会えるのは卒業式っスよ?

卒業式終わったら、もう新生活まで時間もないんスよ?

そんなの、許されるわけないじゃないスか。
みわがこんなに苦しんでるのに。
みわの力になれるのはオレしかいないのに。


オレが、助けてあげられなかったせいなのに。



「涼太……お願い。これ以上、自分を責めないで」

ひやり、冷たいみわの手がオレの手に触れた。

自分を責めてるのは、みわだろ。
辛い思いをしてるのも、みわだ。
全部、オレのせいで。

「涼太」

「オレの……せいなのに、のうのうと好きな事だけやれるわけ……ないじゃねえスか……」

「涼太……来て」

温度の上がらない手に導かれ、辿り着いたのは屋上庭園だった。



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