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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱


「……へ?」

我ながら、マヌケな顔をしてると思う。
だって今、みわはなんつった?

「ごめん、ちょっと意味が分からなかったんスけど」

「うん、もう、明日からはひとりで大丈夫だから。
お見舞いにも来てくれなくて、平気だよ」

……

「なんかあったら、おばあちゃんもいるし」

いやいやいやいや。

くっきりと浮かんだ黒いクマ。
ふらつく足もと。
食事もロクにとれないし、時折思い出したように訪れる過呼吸の症状と、嘔吐……

「こんな状態で、どの口が大丈夫って言ってるんスか」

「だって、もうお散歩にも行けるし、ご飯も……すぐに食べられるようになるよ」

「みわ」

「そうしたら退院もすぐだろうし、あとは」

「みわってば、聞いて」

無駄に力を込めないよう、彼女の両肩を掴んだ。

そうか、みわは早く退院したいんだ。
当然だよな、ここには何にもない。

今まで通りの生活に戻りたいのは分かる。
病院じゃ自由もきかないし、ストレスも溜まるだろう。

でも、今の状態で退院なんて、危険すぎる。
それこそ、いつ絶望して自らの命を……

やめろやめろ。
想像すんなって。

「ねえ、無理しないでって、言ったっスよね?」

お願いだから、もう少しガマンしてて欲しい。
ここで、こころと身体を休めるのが、今は一番だと思う。

オレが、みわのお祖母さんの家に泊まり込む事も出来るけど……何かあった時に、医者がいるここの方が絶対にいい。

幸いにも学校は自由登校だし、オレにも時間の余裕がある。

赤司っちも、泊まっていいって言ってくれてるし。

「みわの言いたい事も分かるんスけどね、今はさ……」

「涼太、明日から合宿でしょう?」

不意打ちだった。
思ってもいない方向から来たボールが頭にぶつかったかのような衝撃が走った。



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