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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱







「……ん」

病室内が薄暗い。
電気は点いてないのに……
ああ、朝、か?

昨日はアレコレ考え事をしているうちに、眠ってしまったらしい。

いつもは、病室とは思えない大きさのみわのベッドの隣に簡易ベッドを出して貰って居たけど、昨日は……

「涼太、今日は……隣で、手を握って、くれる?」

本当に珍しいみわのおねだりで、同じベッドで寝たんだった。

本当に、ただ手を握っていただけ。

細くて長い指先は、いつものように冷えていたけれど、オレの熱で少しずつなくなる温度差。

みわが寝付くまで見ていてあげるつもりが、その体温の気持ち良さに、つい寝落ちてしまった。

身じろぎながら身体を起こすと、黒くつぶらな瞳と目が合った。

「……おはよう、涼太」

「オハヨ」

なんだか、寝起きの顔を見られるというのは、情事の後のような気恥ずかしさがある。

「寝れた? みわ」

「……うん、今さっき目が覚めたところ」

「そっか、なら良かった」

薄暗い中でもハッキリ分かる、みわの目の下のクマが消えた気配はない。

枕元の時計に目をやると、もう6時だった。
こんなにも室内の明度が低いのは、天気が悪いせいだろうか。

ここの病棟だけは、面会時間という概念が無いらしいけど、ホントなのか?

みわがいつまで入院するのか分からないし、詳しく聞いておかないとな。

また、チラリと脳裏をよぎる、バスケのこと。センパイたちの顔。
未練たらしいな、いつまで引きずる気だよ。

……でも、もう一度ちゃんと笠松センパイには言っておかなければならないだろう。

みわの事を伏せた上で納得して貰うのは難しいだろうけど、なんとか説得しないとな……。


みわの様子が、昨日から少し変わった。

散歩に行くと言ったのも驚いたけど、今度は食事もとると言い始めた。

今朝からまた、食事の時間に配膳がされる予定だ。

……みわ、どしたんスか?
明らかに無理をしているハイペースに、心配が募る。


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