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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第74章 惑乱



"なんか、数日前に笠松が黄瀬に
連絡取った時にさ、もうバスケは
やめるとかなんとか、そんな事を
言ってたらしいんだけど。
神崎、何か知ってる?
アイツ、何か悩んでるのかな。"


え……

やめる?

バスケを?

誰、が?


"なんか、大切なものがあるって
言ってたらしいけど、突然そんな
事言われたって、訳分かんなくて
さ。
俺たちには分からない悩みがある
のかもしれないけど、俺たちで良
ければ、話くらいは聞くぞって、
もし黄瀬と会う事があったら、伝
えておいてくれないか。

神崎も忙しいだろうに、ごめん。
笠松は引き続き黄瀬に連絡してみ
るらしいけど、もし何か知ってた
ら、教えてくれるかな?"


……私、何も分かっていなかった。

足もとが、ガラガラと崩れていく感覚。
ベッドにいるはずなのに、ゆらゆらと視界が揺れて、倒れそうだ。

「お待たせ、みわ」

息を弾ませて戻って来た涼太は、いつも通り。
両手には、それぞれスポーツドリンクとお茶を持っている。

「どっちにするっスか? オレ、聞いてくの忘れちゃってさ」

その笑顔の、裏側。
バスケをやめるって、私のせいだよね。

私、何をさせているの、涼太に。

彼のこの先を摘み取るような事をして、何をのうのうとしているの。

今までと同じじゃ、ダメ。
こんな事件に負けちゃ、ダメ。
私は、涼太と一緒に頑張るって、そう決めたから。

私が"死にたい"って本音を漏らした時の涼太の顔が、忘れられない。
悲しい、本当に悲しそうな顔。

あんな顔、二度とさせたくない。

だから、私は強くならなくちゃいけなくて。

ひとりでも、立てるように。
歩けるように。

涼太の隣を、胸張って歩けるような女じゃないと、彼には相応しくない。

怖い。
怖いけれど……

踏み出すんだ、自分で。
小さくてもいい、大きな一歩を。

わかってる。
わかってるのに。
でも、どうしたら、いいの?


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